監督インタビュー
監督インタビュー

林

--「探偵事務所5」シリーズの企画はいつ頃から考えていたのでしょうか?

「企画自体は、1997年に映画版『私立探偵濱マイク』シリーズが終わってすぐに取りかかろうかと思っていました。当初は"私立探偵551シリーズ"としてね。それでまず、18分間のパイロット版として北村一輝主演の『私立探偵551 流れよ我が涙、と探偵は言った』(02年にYahoo!ムービーで配信)を作りました。ちなみにこの551というナンバーは、僕が探偵協会を卒業した時に授かった探偵ナンバーです」

--「濱マイク」シリーズは、横浜・黄金町にあった映画館で、実際に劇中に登場する「横浜日劇」(2005年2月に閉館)との出会いがアイデアが生まれた大きな要因となったそうですが、今回、触発された要素はありますか?

「前回の舞台は横浜だけど、今回は川崎ですね。もともと、"1都市1探偵"の構想があったんです。横浜の濱マイク、横須賀の551(『私立探偵551』の北村一輝)、下北沢の661(テレビ東京系ドラマ『黒の女 昴』のともさかりえ)・・・という具合にね。ところが、その都市に点在している探偵たちが所属する本部はどこか? まず本部が必要だなと。どこか探偵たちの拠点が欲しかったんですね。そこで少しずつリサーチしていて、車で通る度に『"ブレードランナー"みたいな町だな』と目を付けていたのが川崎だった。あの無数の煙突や配管が見える臨海地区は、世界中で川崎にしかない風景ですね。ある意味、開発の進む川崎駅周辺とは異なり、時代に取り残された過去の風景とも言える。そういう意味では、『濱マイク』シリーズで撮影を行った黄金町と似ているのかもしれない、近代日本の原風景と人の匂いが残る場所ですね」

--その町しかり、ファッションや小道具に至るまで、『濱マイク』シリーズの世界観も受け継いでますね。591(成宮寛貴)が乗るスバル360をはじめ、相変わらずマニア垂涎のツウなアイテムが満載です。

「522(宮迫博之)が1980年ぐらいのホンダのステップバンなんですけど、今回は何となくイメージで国産車でいこうと思ってます。今日も福島で、1975年のグロリアを見つけましたからね。元・福島県知事の公用車だったらしいんですけど、これは間違いなく"私立探偵事務所5"の公用車になりますね。今回のシリーズで新たに登場する光る時計(スイスのビクトリノックス)を始めとする"探偵7つ道具"の考案も時間とお金がかかってますよ」

--"DETECTIVE OFFICE"の文字が刻まれたシンボルマークも、英国の老舗ブランドのマークを思わせ、探偵事務所の気品と格式を感じさせます。

「昔って、街の洋服屋さんにはその店専用のタグが付いてました。"服部テイラー"とかいうお店専用のタグですね。そんな日本の洋服店のタグを集めている人がいまして、その一つをベースにデザインしたのが今回のマークなんです。だから古きよき日本の和洋折衷のシンボルです。古いモノっていいですよ 映画って、虚構の世界を描いているワケですから、アンティークのような時間や人間の匂いを吸っているものを置いておくと、そこに人のぬくもりを感じるようになると思います。」

--一種ファンタジーの香りもするこの『探偵事務所5』シリーズにおいて、今回、事件のテーマに取りあげたのが美容整形。非常に今日的な、リアリティのある問題です。

「これは、あるドキュメンタリー番組を見たのがきっかけとなっています。美容整形というのは調べれば調べるほどドラマチック。芸能界デビューのために整形したり、犯罪者が逃亡のために顔をいじったりという縦線の部分は、ほとんど事実ですね。美しくなりたい、変わりたいという女性たちが集まる一方で、 それで一儲けをしたいという人間もいる。すべて、皆の中にある"欲望"という心の隙間を表現しているから、そこが映画的で面白い」

--映画版は、"591"が主人公の第1話と、"522"が主人公の第2話と分かれてますが、その美容外科を通じて物語が繋がっています。その第2話に"内偵"役で永瀬正敏さんが出演するのも、『濱マイク』シリーズのファンには嬉しいところです。

「永瀬君とは、『乙女の祈り』(96)以来9年ぶりですね。マイク? いや、コイツは何者だ?と観客の頭に疑問を抱かせて実は・・・。非常に難しい役どころなんですけど、永瀬君にお願いして良かった。この9年間、時代劇『隠し剣 鬼の爪』など芸歴を積んで、着実に演技レベルが上がっているなと思いましたね。彼には心から感謝しています」

--ちなみに、"探偵事務所5"は本部であって、濱マイク自体は横浜支部の一員という設定になるんですよね?

「そうです。マイクも5ナンバーを持っているはずです。ちなみに、501を演じる佐野史郎は、僕の頭の中では『夢みるように眠りたい』(85)の私立探偵・魚塚(佐野史郎)の息子というイメージです。全体像としては、"5"の本部があって、さらに支部がある。そして、その"5"に対抗する組織である"4"、女性探偵たちが所属する"6"がある。そうした"5"の成り立ちや、映画には登場しなかった他の"5"ナンバーの物語をインターネットのショート・ドラマで連続して描いていく。象徴的なのは、"5"の会長役である宍戸錠さん。彼が『濱マイク』シリーズにも、今回の映画版&ネット版にも出演しているように、映画とネットで物語が登場人物がリンクしているんですね」

--『私立探偵551』のほかにも、NTT東日本のネットムービー『パソコンマン』(05年3月よりNTT東日本のサイトにて配信)も手掛けてますけど、ネットとの出会いが大きかったようですね。

「そう、『私立探偵551』を作ったのが面白かったんですね。あの製作を通して、それまで当たり前だと思っていた”上映時間90分”という枠に対して『本当に90分必要なのか? 例えば18分で、人間の感情を表現できないか?』と考えた。そう思い長いシナリオの余計な部分を取って、必要な部分だけを残して撮っても、十分物語として成立する。あれ以降、映画の作り方が変わってますね。例えばA→B→Cと物事を説明するところを、いきなりA→Cへと飛んで、なるべく余計な行程を省くようにするとかね。それにしても、その昔、子供がテレビを見ていたら『バカになるからやめないさい!』と親によく注意されたでしょう。それがいつの間か娯楽の王道となっているんだけど、それがテレビから漫画、ゲームと来て、今、目の敵にされているのがインターネット。でも、これもすぐに王道となる日がきっと来る。その前に、ネットと手を組んでおこうと思って。だから映画とネットを今回は連動させます」

--ところで、林監督がここまで探偵にこだわるのは、何か理由があるのでしょうか?

「探偵と映画って非常に似ていると思うんです。リアリティとファンタジーが混在している世界で。それに、こうしたシリーズ企画って、当初からシリーズ化を想定して立ち上げていかないと成立しないんですね。僕一人ぐらい、探偵にこだわり続ける人がいてもいいでしょう。今回はさらに大きな探偵ブームを起こしたいと思っています。今回の「探偵事務所5」は僕の探偵映画の「総集編」だと思います」

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